血圧の「上」と「下」とは、最高血圧、最低血圧のこと。
最高血圧は、血液を送り出すときに心臓が収縮して、血管に強い圧力がかかっている状態の値。収縮期血圧とも呼ばれています。一方、最低血圧とは、次に送り出す血液をためこむために心臓が拡張しているときの値で、拡張期血圧ともいいます。

定期的に血圧を測定することで、高血圧の早期発見・早期治療につながります。
血圧を測定する際の注意点は次の通りです。
・朝と夜の1日2回、毎日できるだけ同じ時間に測定します。
朝：起床後1時間以内、排尿後、服薬や朝食の前
夜：就寝前
・椅子に足を組まずに座り、背筋を伸ばした姿勢で測定します。5～6回深呼吸をしてリラックスしてから測定しましょう。

血圧は常に一定ではありません。血圧を測定する時間帯や季節によって異なりますし、起床や食事、運動などの日常生活、精神的ストレスや測定時の室温など、さまざまな原因により変動するものです。
たとえば、運動すると一時的に血圧が上昇することがありますが、運動後、安静にすることで自然に下がります。これは正常な血圧の変化です。体を動かしたり、緊張したりして、一時的に血圧が上昇したとしても、普段の血圧が正常であれば問題ありません。

高血圧とは、安静にしていても血圧の高い状態が長く続いた状態をいいます。高血圧の状態が長く続くと、心臓や血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞、心不全といった重篤な病気を引き起こす恐れがあります。
しかし、高血圧はほとんど自覚症状がないため、長年経過して、気付いたときには病状が深刻化しているケースも少なくありません。

現状では明確な原因が特定されていませんが、遺伝的要因や生活習慣が大きく関係しているといわれています。 例えば高血圧を持つ家族がいる人は発症リスクが高まる傾向にあります。 また、肥満、塩分の多い食生活、運動不足、過度のストレス、喫煙、過度のアルコール摂取などの生活習慣も高血圧症の発症に繋がります。

高血圧の対策としては、以下のことが挙げられます。

・食事療法：塩分を控え、カリウムを多く含む食品を積極的に摂りましょう。
カリウムは、藻類、果実類、いも及びでん粉類、豆類、肉類、魚介類、野菜類などに多く含まれています。
カリウムは水溶性で煮たりゆでたりすると水に溶け出してしまいます。 生野菜サラダで摂ったり、生の果物でとったりすれば、効率よく摂取することができます。
※腎臓の機能が低下している人は、カリウムを上手に排出できなくなるため、注意が必要です。必ず医師の指示に従ってください。

・療法：毎日30分程度の有酸素運動を心がけましょう。
手軽にできるウォーキングがおすすめです。1kmを12分で歩くくらいの気持ち早めのスピード（時速5km前後）で歩きます。
減量効果も期待できます。

・減量：肥満は高血圧のリスクを高めるため、BMIを参考に適正な体重を維持しましょう。
BMIの計算式は「体重（kg）÷身長（m）÷身長（m）」で、身長はcmではなくmで計算します。BMIの標準値は「22」とされています。
日本肥満学会の肥満の判定基準は次のとおりです。
18.5未満：低体重
18.5以上～25未満：普通体重
25以上：肥満

・禁煙：喫煙は血圧を上昇させるため、禁煙しましょう。

・ストレス管理：ストレスは血圧を上昇させるため、ストレスをためないようにしましょう。

・薬物療法：医師の指示の下、降圧剤などの薬を飲みましょう。

訪問看護では、患者さんのご自宅に看護師が訪問し、以下のサポートを行います。

・血圧測定：定期的に血圧を測定し、血圧の変化を把握します。
・服薬管理：薬の飲み忘れ防止や副作用の確認を行います。
・健康指導：食事療法や運動療法など、生活習慣の改善に関する指導を行います。
・症状の観察：体重の変化、むくみ、頭痛などの症状を観察し、異常がある場合は医師に報告します。
・心理的なサポート：高血圧に関する不安や悩みなどを聞いて、心のケアを行います。

血圧は、私たちが健康に過ごす上で非常に重要な指標です。発症したとしても、生活習慣の改善と医師や看護師との連携により、高血圧をコントロールすることで健康的な生活を送ることができます。

訪問看護は心を尽くして患者さんやご家族をサポートします。
この記事が、皆様の血圧管理の一助となれば幸いです。

※この記事は、一般的な情報であり、個々の患者さんの状態に合わせたものではありません。必ず医師の指示に従ってください。